組合ニュース2015第11号

「組合ニュース」は、大阪大学箕面地区教職員組合と全教職員とのコミュニケーションを活発にする目的で発行するものです。
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■■□ 組合ニュース 2015年度 第11号 ■■□■■□ 2016年 2月18日 ■□


(1)外国語学部図書館長との意見交換、その詳細


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(1)外国語学部図書館長との意見交換、その詳細

2月16日午前中に図書館で行われた「キャンパス移転に関する図書館の状況を聞
 く会」のレポートをしたいと思います。

 この会合は、組合執行部が主催して、附属図書館の杉村副館長(外国学図書館
 担当)に、先日の移転説明会で大きな話題となった図書館に関する移転計画
 の現 状をいろいろお話いただき、その情報を箕面キャンパス構成員が共有でき
 るよう にする、というのが目的であり趣旨であります。以下のレポートは、当
 日杉村副 館長と事務職員の方からうかがった話を、いただいた資料を参考にし
 てまとめた ものです。できるかぎり主観を排して書いたつもりですが、あくま
 で書き手の視 点でまとめています。文章の責任はもちろん組合にあります。

 最初にうかがったのは、キャンパス移転に際して図書館のこと(など)を決め
 ている組織の構成についてです。
 まず、総長・役員会に直結した総括組織として、「箕面新キャンパス移転準備
委員会」(委員長三成理事、副小林理事)〔以下「準備委員会」〕があります。
その下に設けられているのが、1)「移転構想検討部会」(移転構想を受け持
つ)、2)「施設整備検討部会」(箱モノの整備計画を受け持つ)、3)
「管理 運営検討委員会」(運営管理を受け持つ)という三つの部会。
そして、「準備委 員会」と三つの部会の間に、「大学・(箕面)市連絡協
議会」があります。これ らの組織の一番上の位置にある「準備委員会」に
は、杉村副館長は入っていませ ん。席があるのは、新キャンパスに関する
比較的抽象的な議論を行う、1)「移 転構想検討委員会」においてのみであり、
またこの会議では図書館に関する具体 的な要求は議題になりにくい、というこ
とでした。

 次に、図書館問題が浮かび上がってきた経緯について。
 最初に出てきたのは総長選前の移転説明会の時。この時点では図書館に関し,
具体的な言及はありませんでした。
 次が、昨年7月の図書館長・副館長会議で、前執行部の東島理事(当時の図書
館長)から「新しい図書館を作ってください」という引き継ぎの言葉があったそ
うです。その後、外国学図書館は阪大独自の施設としては設置されず、箕面市が
新キャンパスに隣接して建設する「複合施設」に入ることが判明し、さらに「複
合施設」の中においても、独自に存続するのではなく、「複合施設」内に新設さ
れる箕面市立図書館の一部門として設置される約束であったことが判明しました。
「複合施設」(現在は「文化交流施設」と呼ばれている)というのは、箕面市が
市民のための「公の施設」として建設する建物で、(図書館を含む)「複合施設
の位置づけ(10月8日付)」という見解が箕面市から示されています。

 協議の当初は、大学附属図書館も箕面市に対して、現状をほぼ維持できるよう
な新図書館の図面を提出しましたが、連絡協議会での3度にわたる審議を経て、 
大学図書館を建物の構造的にも市立図書館の中に組み込むという形で決着しまし
た。これが、先月21日の説明会で三成理事が言われた「(外国学図書館を)組織
としては残す」という言葉の意味です。

 ただ、大学図書館を市立図書館の中に組み込むにしても、どのように組み込む
か、まだ大学と箕面市の間で合意には至っておらず、現在の状況は「五里霧中」
ということでした。管理運営体制に関しては、まだ協議が始まっていません。

 図書館側の懸念として、まずそもそも新キャンパス(構想)に図書館の場所が 
無かった、ということがあります。計画にあったのはただ箕面市が市民のための
「公の施設」として建設する「複合(文化交流)施設」に移設されるということ
のみで、それがいかなる形態の移設であるかは不明のままでした。最終的に(と
言うか最初から)、外国学図書館は形式上消滅し、現在まだ名称未定の「箕面市 
立◯✕図書館」の「一部門」として残ることになりました。さらにこの「市立」
図書館は、指定管理者制度における全国初の試みとして、市が大学を管理者とし
て 指定する「複合(文化交流)施設」の一部となっている、つまり市側は、具
体的には、現在の市立萱野南図書館と外国学図書館を合併(一体化)した市立図
書館を作る考えなのです。ここに大きな問題点が存在します。

 外国学図書館からは、先にふれたように、現在と同じような教学研究環境で使
用できる案(個別の図書館が併存する形態)を提出しましたが、箕面市側はあく
までも、住民の平等な利用の確保を主張し(指定管理者制度の下においては、こ
れはこれで正論でしょう)ており、外国学図書館が最低限の教学研究環境の確保
を目的として提案している入館ゲートと複数業務のための分離型カウンターの設
置すら認めようとしていません。連絡協議会において、個別図書館案とカウン 
ター分離案は否決され、現在まだ未定なのは、「大学図書館」部分の入館ゲート 
を設置するか否かのみです。他にも、箕面市案では、大学図書館職員のスペシャ 
リストとしての立場や業務の内容が大きく変化し、これまでとは質の異なる業務 
が大幅に増えることは容易に想像でき、職員の方たちは不安を募らせています。 
さらには、書庫の管理の問題、収納量確保の問題、AVライブラリの問題など、大
 学図書館として必要不可欠な機能が、指定管理者制度の中で果たして保持できる
のか、などなども決して小さな問題ではありません。

 外国学図書館はこれまで機会のあるごとに大学図書館としての役割の重要性と 
それが損なわれることに対する懸念について発言・説明をしてきました。そのこ
とは、去る1月26日に行われた総長ヒアリングの席上で、総合図書館担当の高橋 
副館長が箕面キャンパス移転に関わる問題点について大学当局に、大学附属図書 
館を代表して以下のように発言されたことからも理解できると思われます。

「箕面キャンパス移転後の外国学図書館のあり方については、このままでは大学
図書館としての教育研究機能や学習支援機能を十分に果たせるものとは到底思わ 
れず、将来に禍根を残すものと懸念しているところです。新しい箕面キャンパス 
で学ぶ学生たちに対し、ここが君たちの学修を支援する大学図書館です、と胸を 
張って言えるような図書館にぜひともしていただきたく、今一度再検討くださる 
ようお願いいたします。」

 以上のように、現在の移転計画が図書館に与えている影響は深刻で複雑です。 
そして、その根本的な原因は、そもそも前執行部が「大学(施設の中に)図書館
 は作らない」という箕面市の方針を受け入れてしまったことにあると思われます。
 (移転計画)覚書の中にある図書館の位置づけはどうなっていたのでしょう か。
さらにキャンパス移転の基本構想に、豊中・吹田・箕面の3つのキャンパス
 の大学施設としての質量を平等に保証する、という前提はあるのでしょうか?

 杉村副館長の言葉の中で特に印象的で、深くうなずいたことを最後に書きます。

 「当たり前の話ですが、大学図書館はあくまでも、大学に付属する施設です。
ですので、附属図書館がどのようなものであるべきかを決め、形作るのは、図書
 館ではなく、学部であり、研究科です。」

これは図書館だけの問題では決してありません。現在はごく当たり前のように確 
保されている箕面キャンパスにおける大学図書館としての機能をもう一度確認 し、
それを新しい環境で同じように保持できるように構成員がしっかりと意見を 出さ
なくてはならないのです。




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初版: 2016.2.18 ; 最終更新: 2016.2.18
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