■■□ 組合ニュース 2012年度 第10号 ■■□■■□ 2012年12月27日 ■■ (1)退職金引き下げ問題、全大教の取り組み:政府に対する団体交渉申し入れ ■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□ (1)退職金引き下げ問題、全大教の取り組み:政府に対する団体交渉申し入れ 2012年12月27日 内閣総理大臣 安倍晋三殿 文部科学大臣 下村博文殿 全国大学高専教職員組合 中央執行委員長 中嶋哲彦 国家公務員の「退職手当法一部改正」をふまえた 国立大学等法人における退職金引き下げ問題に関する団体交渉の申し入れ書 「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等 の一部を改正する法律」(以下「退職手当法一部改正」という。)に関連した 政 府による要請をふまえ、国立大学・国立高専・大学共同利用機関法人 (以下「国 立大学等法人」という。)では、法人の退職金引き下げ提案を巡り、 労使交渉が 行われています。 国立大学等法人の賃金・労働条件は自主的・自律的労使関係の下で決定される べきものです。 政府は、国立大学等法人での自律的労使関係に介入し、事実上国立大学等法人の 退職金引き下げの使用者側当事者としての役割を果たしています。 そのことは、第1に8月7日の閣議決定「国家公務員の退職手当の支給水準引き下 げ等について」において、「独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91 号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。)の役職員(独立行政法人通 則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第2条第2項に規定する 特定独立行政法人の職員を除く。)の退職手当については、国家公務員の退職 手当の見直しの動向に応じて、通則法等の趣旨を踏まえつつ、今般の国家公務員 の退職手当制度の改正に準じて必要な措置を講ずるよう要請等を行う。」として おり、これは各国立大学等法人においては実質的な強制と受け止められています。 第2に、11月30日に内閣官房行政改革推進室長・総務省行政管理局長名で、各府 省官房長宛に発せられた事務連絡で、「特定独立行政法人以外の独立行政法人 及び特殊法人等の退職手当について、各府省におかれては、貴管下の法人に対し て、平成24年閣議決定に基づき、必要な措置を講ずるよう要請するとともに、 特殊法人等に対しては、必要な指導を行うなど適切に対応されたい。」とし、 また「各法人の業務運営における透明性の向上の観点から、独立行政法人及び 特殊法人等における役職員の給与等の水準の公表に合わせて、各法人における 措置状況 を公表することとされたい。」としています。 12月5日に文部科学省は、大臣官 房長名で各法人に対し、この内容を伝達する と ともに、「民間における退職給付 の実情に鑑み退職手当の引き下げを行う ことを内容とする今般の国家公務員の退 職手当制度の改正に準じて、貴法人の 役職員の退職手当について必要な措置を講 ずるよう要請いたします。」として います。これらは、実質的に各法人に対する 強制として働いています。 このように、政府の介入と監視の下で、法人の提案が政府の発言を繰り返すば かりで誠実な交渉が行われない、あるいは、使用者側が交渉を一方的に打ち切 るなど不当労働行為が多くの国立大学等法人で発生しています。 各国立大学等法人で自主的・自律的労使関係が機能しない以上、退職金切り下 げを実質上強制している政府が、この問題についての国立大学等の教職員の使 用者として、団体交渉に応じる義務があります。 こうした事態をふまえ、国立大学等法人における「退職手当法一部改正」に準じ た退職金改定提案の事実上の使用者側当事者である貴職に対して、全国大学高専 教職員組合に加盟する全国の国立大学等の教職員組合を代表し、労働組合法にも とづき、下記の通り申し入れるものです。 記 以下の点について要求します。団体交渉において回答、協議を求めます。 1.「退職手当法一部改正」に関して、国立大学等法人における自主的・自律的 労 使関係のもとでの労働条件決定の原則を尊重し、国立大学等法人に対する 事実上の退職金引き下げの強制を行わないこと。 2.「退職手当法一部改正」にあたり、国立大学等法人に交付する運営費交付金 のうち退職手当相当額について減額をせず、従来の退職手当水準を維持できる 額を措置すること。 なお、団体交渉の日時については双方の協議によるものとし、場所については 貴職でご指定ください。1月4日までに、文書による回答を求めます。