組合ニュース2012第9号

「組合ニュース」は、大阪大学箕面地区教職員組合と全教職員とのコミュニケーションを活発にする目的で発行するものです。
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■■□ 組合ニュース 2012年度 第9号 ■■□■■□ 2012年12月27日 ■■

(1)非常勤講師組合の団体交渉

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(1)非常勤講師組合の団体交渉

昨日、2時より箕面キャンパス管理棟4階会議室で
関西圏大学非常勤講師組合の執行委員長、書記長、執行委員、組合員7名と
首都圏大学非常勤講師組合の執行委員長、書記長、執行委員3名による
団体交渉が行われました。
関西単一労働組合、阪大postの学生記者、
大阪大学組合と箕面組合の私たちも、
オブザーバーとして参加しました。

使用者側は、
中村信一総務企画部長を筆頭に
いつもの人事課の職員9人、
見知らぬ2人(1人は目がぎょろりと特徴的な方、1人はマスクした方)、
この他、高階美行外国語学部長と職員の2人も参加し、
ほぼ同数がずらりと並びました。


(2)申し入れ内容
                                   
2012年12月6日

国立大学法人 大阪大学

学長 平野 俊夫 殿

                          関西圏大学非常勤講師組合

                                  委員長 新屋敷 健

                          首都圏大学非常勤講師組合

                       委員長 松村比奈子


           団体交渉申し入れ書

以下の要求項目について団体交渉を申し入れますので、
これらに関し説明責任を果たせる方の出席を求めます。
なお、新屋敷健は首都圏大学非常勤講師組合の組合員でもあることを申し添えます。
団交の応諾は、12月12日までに下記の住所にfax又は文書での回答をお願いします。

(住所など省略)

                    記

団交日時:2012年12月19日(水)または26日(水)の午後
団交場所:貴校内
団交議題:以下について

1. 労働契約法改正案の趣旨に従って、非常勤講師の雇用を適切に行うこと。
2.2013年度外国語学部非常勤講師予算案の前年度分からの減額を撤回すること。
3. 週1日出講の非常勤講師に有休付与をすること。

                                    
      以上

(3)団交で明らかになったこと

非常勤講師組合が確認したことをまとめます。

①労:4月1日以降、何が変わるのですか?
使:変わらない。
労:委嘱された授業をするという労働実態は変わらないですね。
使:変わらない。

②労:4月1日以降も委嘱契約であって、雇用契約ではないのですね。
使:回答署に書いているように「民法656条の準委任契約たる委嘱契約」であっ
て、雇用契約ではない。
  最終的には民事上・司法上の判断になるが、改正労働契約法第18条の労働者
という解釈がされる可能性が否定できない。

③労:では、「最長雇用可能年数」とあるが、なぜ、雇用契約でない非常勤講師
を対象とするのですか?
使:今回、労働契約法を改正するにあたり、その法の主旨を尊重し、
  非常勤職員などの雇用のあり方を柔軟でシンプルな制度に改善するためである。
<↑労働者でない非常勤講師をなぜ対象とするのかという理由は述べなかった。>

④労:改正労働法の主旨を理解しているのですか?
使:当然理解している。
<↑ここで労働者側は大爆笑。>

使:無責任なことを言えないので、できることと、できないことを大学として
はっきりさせたいということです。
労:無期転換権を放棄させるために何かすることは無効になると厚生労働省は書
いていますよ。
<↑無回答>

⑤労:非常勤講師の委嘱契約の長いもので何年ですか?
使:1年。
労:なぜ、最長雇用年数を5年とするのですか?
使:5年を超えたら無期雇用に転換する権利が生まれますが、
すべての非常勤講師の方が無期雇用になることを約束できないので、期限を設け
ざるをえない。
<↑契約解除しやすいために5年としたということになる。>
使:「5年上限」は禁止されているわけではない。
労:無期転換申込権が発生しても、すべてが申し込むわけではありません。

労:なぜ、3年じゃなく、6年じゃなく、5年なのですか?
使:何度も説明しているように、本学には非常勤職員など、複雑な雇用形態があ
るので、
  それを柔軟でシンプルなものに改善するためだ。
<↑答えになっていない。何度聞いても、回答になっていない。>

⑥労:厚生労働省に陳情に行った時、厚生労働省労働基準局労働条件政策課政策
係長が対応し、
そこで「2013年4月1日以前の一年契約の反復更新による期待権は、
『雇い止め法理」についてリセットされない」ことを確認しています。
使:(返答なし)
労:また、「5年までと決めること自体は、禁止されないが、雇止め法理にかかる。
望ましくないと思うので、各大学に説明していきたい。」ということを確認して
います。
使:(これについて返答なし)

⑥労:法人化前、河村副大臣の時に、非常勤講師はパート労働者とし、それが社
会の趨勢になったことを認識していますか?
使:覚えている。どんな実態であっても、一律に非常勤講師は労働者だと言えない。
  「民法656条の準委任契約たる委嘱契約」なので、契約更新への合理的な期
待権は生じないと思っている。
<↑税金で運営する阪大は、「社会情勢適合」の原則に従うのではないの?>

⑦労:5年で雇止めのリスクをシュミレーションしていますか?
教育面においては、5年で雇止めは、授業を受ける学生にとって不利益になります。
外国語学部長:学生の教育に支障がないように知恵を集めて、努力するというこ
とです。
↑シュミレーションしてない、ということが明らかになりました。

労:団体交渉も増えるし、提訴も起ってくる。そういうリスクを念頭に置いてい
ますか?
使:団体交渉したり、提訴するからこの案を取り下げる、ということにはなりま
せん。
↑同志社大学では、大学にとっても、学生にとってもいい結果をうまないので
最長雇用可能年数を定めない選択をしました。

⑧労:たとえ、6年を超えて、無期契約に転換したとしても、
授業が開設されなければ、解雇することができるのです。
これは、厚生労働省で確認しています。
それは、今と変わらないし、無期雇用に転換しても変わらない。
無期雇用に変えたからといって、時給があがるわけでもなく、労働条件は変わら
ない。
しかし、5年で雇用をやめたら、それによるリスクの方が大きくなるでしょう、
と言っているのです。

****

1時間を過ぎている。次の用事がある。
と、まだ、非常勤の先生が意見を言おうとしているにもかかわらず、
使用者側がいっせいに席を立ちました。

「こんな大学、初めてやわ。」
「あの終わり方が、不当労働行為やん。」
と関東から来られた方はびっくりされていました。


非常勤講師組合の主張をまとめると、

・大阪大学の労働者ではない、委嘱契約の非常勤講師に
労働契約法を適用する理由が不明である。

・「5年」で契約を打ち切る理由が不明である。

・仮に、非常勤講師が無期雇用になっても、
カリキュラム改革で担当科目がなくなる場合、
解雇の合理性が高まるので、解雇できる。
それは、今と変わらない。

・だから、非常勤講師が無期雇用になることを心配するあまり
「5年」で「雇止め」するような乱暴な規程を作らなくてもいい。

・むしろ、そのことによるリスク、
教育上、労働争議上のリスクを考えるべきです。

ということでした。

非常勤講師組合は、厚生労働省に陳情に行き、

*2013年4月1日以前の1年契約の反復更新による期待権は、「雇い止め法理」に
ついて
 リセットされない。

*2013年4月1日から「契約更新5年上限」について: 5年までと決めること自体は、
禁止はされないが、雇い止め法理にかかる。個人的には、望ましくないと思うの
で、各大学に説明していきたい。

ことを確認しています。
大阪大学が厚生労働省から注意を受けることもありえます。

1月の国会でこの大阪大学の事例について質問が予定されています。

大阪不労働委員会への救済申し立てや提訴も
予定されています。

****

非常勤講師組合の主張は理路整然としていて
使用者側は「それは大阪大学のオリジナリティだ」と逃げるので失笑。
「大阪大学の常識は、世間の非常識」ってことが露呈。
オブザーバーとして阪大postの学生も陪席していました。
どんな記事になるでしょうか?


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初版: 2012.12.27 ; 最終更新: 2012.12.27
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