組合ニュース2020第17号

「組合ニュース」は、大阪大学箕面地区教職員組合と全教職員とのコミュニケーションを活発にする目的で発行するものです。
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■□ 組合ニュース 2020年度 第17号 ■□■□ 2021年6月20日 ■□
非常勤講師の雇用問題について(アンケート)その2
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皆さま

各専攻語が返答する「非常勤講師が担当する授業等に係るアンケート」について、

いくつかご意見を頂戴いたしました。

アンケートは「現状を把握」するためのものであり、「責任をもって正確に記載」することが、
依頼文にも明記されています。そのためにも、ご一読いただければと思います。

 

意見その1:

1~4までの評価基準があげられていますが、重要な点は、専任教員等が主体性と責任をもって、
十分に関与/把握しているかどうかです。判断するための具体的項目が、1~4それぞれについて
複数あげられています。そのうち一つでも満たせば、当該の基準を満たしていることになるとの
説明を受けましたが、一つだけで、「専任教員が十分に」と言えるのか疑問です。特に、4の授業の
成績評価についてですが、担当理事から、非常勤講師の方が成績を出したあとに、それを専任教員が
確認できれば、それで基準を満たしたことになるという説明があった旨、竹村学部長が仰っていましたが、
これで専任教員が主体性と責任をもって、成績評価に十分に関与していると言えるでしょうか。言えません。

「包み隠さず事実にもとづいて回答するように」との指示もありましたが、このような不十分な基準に
もとづいて回答したのでは、事実を包み隠さず回答することはできません。

なお、具体的項目の一覧については、これを非常勤講師の先生方に開示してはならないとのことでしたが、
そのこと自体、今回のアンケートの実施方法に何か後ろめたさがあるということではないでしょうか。

 さらに大きな問題は、このような不十分な判断基準で、非常勤講師の方々の授業について、専任教員が
 十分に関与/把握していると判断を下すとしたら、これまで、まさに「主体性と責任をもって」授業計画を
 立て、授業を実施し、成績評価をしてこられ、そして今もしておられる多数の非常勤講師の方々に対して、
 礼を失することになるのではないか、ということです。専任教員が尊大な態度で、非常勤講師の方々がやって
 こられたことを軽んじるという結果になりはしないでしょうか。非常勤講師の方々なくして外国語学部の
 教育は成り立たないことも思い出しましょう(阪大全体でも共通教育はそうでしょう)。

 このような問題含みのアンケートに、われわれはどう回答すべきでしょうか。やはり外国語学部教員として、
 非常勤講師の方々に対して失礼にならないような回答をすべきだと考えます。そのためには大学執行部から
 示された具体的項目に縛られることなく、われわれ自身の判断で、非常勤講師の方々が実際に担当している
 授業を、専任教員が主体性と責任をもって実施している、とほんとうに言えるのかどうか、慎重に判断して
 回答するしかありません。私はそうします。皆さんにもそうしていただきたいと考えます。

 

意見その2:

非常勤講師に授業を依頼するのは、講師の研究上、教育上の能力を評価し、認めているためであり、責任は別
として、大学が「主体性をもって」という状況とは相容れない。だからこそ他大学では準委任契約を見直して
いるのであり、非常勤講師に対する大学の管理を強める対応より、契約変更を考えるべきである。

 

意見その3:

私たちが主体性と責任を持つべきところは、授業介入ではなく、その前の段階、専任では提供できない高い
専門性を持った講師をお呼びする過程だと思います。特に3、4年生の授業については、そのつもりでお願い
している授業ばかりです。そのような非常勤の先生方の授業内容や評価方法について適切かどうか判断する
自信はありません。

 

意見その4:

授業は、専任教員、特任教員、非常勤講師が担当し、専任教員が専攻語の教室会議で議論し、カリキュラムを
組んでいます。特任教員は、ネイティブの教員で、語学教育に専念していただいています。非常勤講師は、
大阪外大時代には、言語・文学・文化・歴史という4本の柱で地域研究(外国研究)を学ぶ環境を作り、
専任教員の専門ではカバーできない分野で、余人を持って代えられない研究者に担当していただいています。

この3者は、大学の視点では、雇用形態によって別の分類になりますが、教室の学生にとっては、自分の専門を
教授するという同じ労働をする教員です。違いと言えば、卒業論文の指導をするかどうかです。

専任教員である私は、特任教員にも、非常勤講師にも、1から4の項目を意識して行ったことがありません。
それは、無責任ということではなく、それぞれの教員には教学権を持っていますので、さまざまな

コミュニケーションを取りながらも、②各授業時間ごとの指導計画、③各授業の実施状況、④各授業の成績評価
について関与することは基本的にありえません。それは、専任教員が、非常勤講師の方に、この学生について
このような成績をつけたいが、どう思うか、と聞くことがないのと同じ理由です。①の役割分担等を協定書に
より予め周知している、ということについては、余人を持って代えられない方に非常勤講師として授業を
持っていただけるかどうか、打診する際に、どんな専攻語で、なぜ、この授業が必要かという説明はします。
しかし、その時、協定書という概念で、つまり、専任教員が雇用者であるかのような認識を持って、授業に
関する情報を提供するのではありません。時給がいくらになるか、交通費はいくらまで支給されるのか、
有給休暇はあるのかなどの話をすることはありません。それは、教授会で、その年度の非常勤講師が承認された後、
大学の事務が担当しているからです。

つまり、余人を持って代えられない研究者に、学生のために時間を割いていただく非常勤講師の方は、
その方の専門や指導方法を信頼しているし、来学していただくことが決まったら、その方の教学権を
尊重した共同関係を築いてきました。私たちの責任の範囲は、ここにあります。

今回のアンケートは、文部科学省に対し、大阪大学が主体性と責任を持って授業を実施しているため、非常勤講師と
準委任契約関係であっても問題ないと回答するための根拠資料を集めようとしたものです。しかも、「大阪大学が」
という主語は、「専攻」がという主語に代えて、私たち労働者に「主体性と責任を持って」非常勤講師に「授業を実施」
させているかどうかと問い、また、改善策を考えようとするものです。私たちは、非常勤講師と同じく、教室で教学を
行う労働者側であり、使用者ではありません。大阪大学が、他の大学と同じように、非常勤講師を労働者として認める
という立場に立てば、このような根拠資料を集めなくてもよかったのではないですか?主体性と責任を持って、
非常勤講師の労働者性を認めるべきは、大阪大学です。

 

(文責:藤原)

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初版: 2021.6.20 ; 最終更新: 2021.6.20
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