組合ニュース2012第7号

「組合ニュース」は、大阪大学箕面地区教職員組合と全教職員とのコミュニケーションを活発にする目的で発行するものです。
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■■□ 組合ニュース 2012年度 第7号 ■■□■■□ 2012年12月25日 ■■

(1)退職金問題等、団体交渉のまとめ

(2)交渉のやりとりのまとめ

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(1)退職金問題等、団体交渉のまとめ

箕面組合が2012年12月12日に要求した団体交渉の申し入れに対し、
大阪大学当局より同12月19日付で総務企画部長名による文書回答があり、
それらを元に同12月20日より箕面キャンパス本部棟で団体交渉が行なわれた。

当局側の出席者は総務企画部長他9名(学長・理事は出席せず)、
組合側は今岡委員長ほか7名、そして組合側陪席者として阪大教職員組合の2名が
出席。

交渉は16時30分から行なわれたが、
組合側が申し入れた事項をすべて話し合っていないにもかかわらず、
当局側が約1時間半足らずで勝手に交渉を打ち切った。

まず交渉に先立ち、
当局側が学長および理事を同席させない理由を組合側が問いただした。
大学側から提示した日程時間の3つの案は、
もともと理事を同席させる考えなく提示したもので、
これまでも、箕面組合との交渉には部長を筆頭に対応してきたが、
それが阪大の方針である、との返答があった。

*!*阪大使用者は、
大阪府労働委員会、中央労働委員会においても、
不当労働行為を認定され、命令を受けたが、
誠実に団体交渉を行わなければならないという基本姿勢を正そうとしない。
実に悪質である。

組合側は、申し入れ書はあくまで学長に送付したものであり、
文書回答も交渉も学長自身の関与を求めることを改めて要求した。

退職金減額問題に関しては、
退職金が労働者にとってどんな意味を持つのかという問い(申し入れ書1.1)に
対して、
当局側は「退職金は功労報償的なもの」であるという認識を示し、
その金額は時勢に応じて大学当局が自由に裁量できるという立場を鮮明に打ち出
したかっこうである。

減額の幅の根拠に関しては、
それがもっぱら独立法人行政通則法第63条第3項(給与及び退職手当の支給基準は、
①当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、
かつ、
②社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない)の後段、
すなわち②の“情勢適合の原則”のみに依拠していること、
しかもその“情勢適合”の際の算出基準が、具体的には、国家公務員の退職金額と
民間労働者の平均的退職金額との関係に過ぎないことをはっきりと認めた。
逆に、
①の“業務実績の考慮”に関しては、
仮に大阪大学の単年度実績が黒字であったとしても“考慮”する意志はまったくな
いと回答文書でも明言し、

また交渉においても、
大阪大学の具体的業務実績と大阪大学労働者の具体的給与水準を比較検討したう
えで給与体系を柔軟に見直すという意志がそもそもない、
要するに阪大の法人としての業務実績が短期的にいくら向上しようとも、
労働者の給与は今後も国家公務員並みに切り下げられる限度まで切り下げ続ける
という発想しかないことを完全に露呈した形である。

(2)交渉のやりとりのまとめ

当:12月12日付け申し入れ書に関わる団交を始める。19日付けでの回答書+別紙
を配布している。
先日の過半数代表者への説明会と同じことをある程度繰り返す。
組:最初から理事は来ないということだったのか?
当:理事が来ない前提で日程を組んでいる。分担して対応しているので。箕面組
合にはいつもそうだったと思うが?
組:そのことを受け入れているわけではない。学長に申し入れているので、回答
は学長からすべきものである。まず、回答は先に送ってくれて感謝しているが、
答えていない部分について答えてもらいたい。

当:退職金に関しては説明しなくてもいいのか?
組:質問の中で適宜尋ねる。
当:別紙の表について説明する。(滝本課長補佐)平均的なモデルではない。いず
れも退職手当の基本額のみの算出になっている。(上)元の試算資料の定年退職か
ら自己都合で退職した場合の計算。旧阪大教員についても全く同じ。申し入れ書
では定年退職なのか自己都合退職なのか不明だったので両者を示した。旧外大教
員も同じ扱い。平成29年3月31日に65歳、実勤務年数31年(でも、63歳で31年と
している)

組:平成と西暦が混ざるとわからなくなる。「当分の間」が終わった翌年の退職
金がどうなるかを知りたかったが、29年3月31日がそれで合っているか?
当:終わってから初めて定年退職する人の計算だ。
組:以前、個別に退職金を計算してもらったが、それを前提にするとどのような
計算式になるのか? 元から阪大教員だった人と同じになると理解していいのか?
当:平成22年改正前の規定と改定後の差額を計算させてもらった。今回の表とは
異なる。
組:あの計算表を元に考えるはずなのだが、それは無効なのか?
当:あの時点での計算額なので、それがずっと生きるわけではない。調整率自体
が変わっていて、あの時の金額を保証するものではない。
組:保証するものではないというのは納得できないし、そのことをきちんと伝え
るべきだ。
当:後追いで全ての人に新たな算出方法で額を伝えることはできない。
組:「保証されたものではない」というのは退職金に限らず給与もそうだと思う。

オ:最高裁では退職金を減額すると減額を決めた時までの債権が発生していると
いう判決がある。不利益遡及である
当:具体的にどんな事件か?
組:朝日火災海上の件だ。12月31日まで在籍していた人に適用すると違反では?
当:1月1日に施行なので、遡及しているわけではない。その論理で行くと退職金
については何も触れないことになる。

組:法人の大阪大学は退職手当の性格をどのように考えているか?
当:「どのように考えているか」という抽象的な質問はわからない。
組:労働者に退職手当を払うのはなぜか?
当:功労報償的な性格。勤労に報いるという意味だ。国家公務員でも企業に勤め
ている人でも同じではないのか。
組:退職手当というのは賃金の後払いではないのか?
当:賃金とは別のものであるというふうに労基法が定めている。
組:賃金とは別と考えている。「功労報償的なもの」であって「功労報償」では
ない?
当:「功労報償的」なものと考える。情勢適合の原則に従って改正しようとしている。

組:「情勢」とはどこの?
当:国家公務員とその他の人々と400万位の差がある。
組:一般企業と阪大の教職員とではどれくらい差があるのか?
当:差はあくまでも国家公務員と一般企業との差だ。

組:我々はどこに属するのか? 社会一般か? 国家公務員か?
当:社会一般ではないのか?
組:社会一般に属しているのなら、なぜ下げる必要がある? 民間よりも高く
なってはいけないというのが「社会情勢の適合」か? そうであるなら、それに
則って、労使間で決めろと言うことではないのか? 「ありき」だったら交渉に
はならない。

当:大阪大学は国家公務員退職手当法に依拠しようとなっている。今回、その大
本が400数万円の差があるので変更しようとしている。
組:国家公務員と比べて我々の給料は低いのか、高いのか?
当:それは必ずしも言う必要はない。基準である。
組:遵守しなければならないのか? そうだね?
当:遵守しているはず。
組:? 大阪大学の退職手当が変わる? 国家公務員の手当ても? 平均は?
当:いわゆる官民比較で出てきている数字。
組:官民を比べる数字があるのでは? 我々は?
当:国家公務員と民間との平均で5年ごとに人事院が比較している。阪大は比較
しない。必要がない。支給の基準が大事。
組:つまり、現実のお金の水準よりも基準を大事にしている。
当:人によってバラバラな額になるものを基準によって決めている。
組:でも402万円と言うのは基準を比較したのではなくて、水準を比較したので
はないのか?
当:間接的には水準も比較の対象になっているが、問題はないと思っている。
組:昨年度の定年退職者(一般職と教員)の退職金の平均を出して欲しい。人事
院が調査した国家公務員が402万高いというのはどこと比べているのだろうか?
当:なぜそれが必要か?
組:後日必要なものを要求する。
当:必要性があるかどうかわからないものまで情報を出させるとは言えない。
組:新聞では「水準」について国家公務員の方が高いといい、だからこそ400万を
下げることになったのだが、阪大の退職金の水準はどうなっているのか?
当:(回答読み上げ)これで納得してもらわないと困る。
組:これは基準の話、つまり制度の話をしているが、それによって水準がどのよ
うに変わるのかを示して欲しい。
当:(過半数代表者の説明会資料を配布)公務員は2950万、民間は2547万強、格
差の見直しの元になっているのは、年金も含まれている。その差を今回は退職金
で埋めようというものである。
民間と阪大の差が402万円ならいいのか? 阪大と民間を比較する必要はない。
組:人事院が調査する時には6級77号くらいの高い人をベースに計算しているは
ずだが、今日もらっている資料は4級くらいで違いがありすぎる。
当:基本額Fに調整額を足したものだが、足して計算するとややこしくなる。調
整額には改正法が適用されない。
組:一般職の人なら下がり過ぎではないのか?
当:人によって違うので、基準によるしかない。年度によっても平均値は変わっ
てくる。それを言い出すとキリがない。
組:阪大の退職金の水準値は出せないと言うことか?
当:先ほど配布したものが平均値に当たるのではないか?
組:民間の2547万と限りなく近いと理解して良いか?
当:いや、年金が入っていないし調整額も入っていないので、民間よりも高く
なってしまうのではないか。

組:時間がなくなってきたので、申入れの回答について、確認したいことがいく
つかある。(1.1)の「退職手当は労働者にとってどのような意味をもつのか、
平野学長はどう考えていますか?」について「回答」には書かれていないので、
学長からの回答はないということでいいのか?
当:さきほど、功労報償的という話をさせてもらいましたが。
組:学長の認識を聞いている。
当:中村部長名で法人として回答している。
組:書いていないので、回答しないつもりかどうかの確認をしている。学長は再
度質問したら答えるか?
当:同じ回答をします。
組:申し入れに対して回答する気はないのか? ないのだな。確認した。

(1.2)は「大阪大学の業務の実績をどのように考慮したか?」の説明を求めて
いる。回答するつもりはないのか?
当:回答していると思うが。
組:考慮したか、どうかを聞いている。
当:その考え方をしない、という回答をしている。
組:「考慮したかどうか」を聞いている。それでは聞いたことに回答していな
い。(1.4)なぜ、教育研究に必要な物件費を第一の削減対象と考えるのでしょ
うか?についての回答は?
当:教育研究のための物件に限定していない。
組:尾山さんははっきりそう言っていた。
当:運営費交付金は人件費と物件費にしか分かれていない。
組:尾山さんは教育研究にかかわる物件費と限定して言った。
当:運営費交付金は人件費と物件費にしか分かれていないということだ。
組:物件費の中でも順序があるはずだ。改修費や司馬遼太郎の講演会など、今す
ぐやらなくてもいい支出もあるはずだ。なぜ、教育と研究に直接影響するかのよ
うな言い方をするのだ。
当:ほんなら、何ですか?司馬遼太郎の講演会は、教育に関係ないということで
すかぁ?
組:それがなければ教育に直接影響するものではない。
当:それでは、我々職員の仕事は、教育研究に関係ないとでも言うのですか?
組:私がいつそんなことを言いましたか?言ってください。いつ、そんなことを
言いましたか?
当:確認しただけだ。
組:言っても無いことを言うんじゃない。退職金減額問題について、これ以上説
明はしないのか? 別途説明会を開催する必要はないと考えているのか?
当:個別には試算を出しているし、電話対応をしているので、団体としての説明
会をするつもりはない。
組:(2)賃金減額措置を中止し、減額分を返還することという申し入れに対
し、「中止」や「減額分の返還」といったことを行う考えはありません。と回答
している。労働者と交渉することなく、一方的に「中止」もしないし、「返還」
もしないという意味だということを確認する。尾山理事は説明すると言ったが、
一方的に決めるということだな。
当:そういう意味では、説明はします。(交渉はしないということ)
組:賃金減額の問題は、労使が話し合って決めているので、大学毎にいろいろで
ある。大阪大学が考える高度の必要性とは何か?高度の必要性があるなら低度の
必要性がある? 何が高度で何が低度か?
当:まさに高度であると考えるから今回行なおうとしている。必要性が高いと考
えているという意味だ。
組:必要性があるという説明はしているが、それが高度であるということの説明
はしていない。高度の必要性とは、何がなんでも基準に合わせようとするという
ことか? 高度だと言うなら、法人の業務実績を考慮するかどうかということ
は? 教職員がどんなにがんばって黒字にしてもダメ、前半部分は考慮しないと
いう判断だということだ。
当:運営費交付金が半減されたらどうするかというのを考えないのと同じこと。
組:そんな極端な条件を設定して議論したらいけない。だめでしょう。単年度の
ことをいうのは極端かもしれないが、例えば5年くらいのスパンについて考える
ことはしなければならないのではないか?
当:実際に業務の実績がないのに、社会の情勢に適合させるだけではダメだとい
う意味で前半部分がある。(!!!!!)
組:頑張ったものが何かで報いられないのはやる気をそがれる。何をいうても無
駄だ、怠けても同じ、結局国家公務員の状況と同じにすることしか考えてないと
なると、気力が落ちてしまう。今でこうなのだから、この先どうなるのだろう
か? 中には真剣に別の職を探そうとしている人だっている。虚しすぎる。この
まま公務員と同じではなく、どこかで考え方を変えないとダメ。独自性を今こそ
本当に持たないと。舵を切る必要がある。全国の国立大学の人事系の人たちが知
恵を出し合って労働の質を守ることを考えていかないと。功労の話ではないのか?
当:ですから、その功労報償的な部分が国家公務員で削られるのだから、それは
仕方がない。
組:国立大学は違うのだというアピールをしていかないと。
当:情勢適合の原則と運営費交付金がある限り仕方ない。
組:賃金減額について他大学が到達した状況が違う。なぜ阪大は国が言ったら
「はい」とその通りなのか?「本学が置かれている状況等」とあるが、東大、京
大という序列の中の阪大のつらさがある? あまりにひどいって国立大学の理事
が言っている例も知っている。それなのに、なぜ阪大は右へならえ。
当:文科省から怒られることはない。また、ならっていないところもある。他の
大学とは就業規則が異なるので。
組:政権が代わってどうなるかわからないが、今後も公務員と同じという態度で
行くのか? 実際の労働者の生活がどうなろうと構わないと言う態度か?
当:情勢適合の原則があるので何とも言えないが、自民党のマニフェストがい一
番大学のことを考えてくれていて、そこでは高等教育の積極的な推進が謳われて
おり、運営費交付金の減額がひどいことを改善したいと述べられている。
組:減額分の教職員への返還は行なわないとあるが、労使の話し合いもなく一方
的に決めるということか?
当:話し合ってどうこうするという考えはない。
組:労働者の意見は聞かずに使用者が勝手に決めるということでいいか?
当:説明はする。文科省から何か連絡があれば、説明はする。交付金は25億円の
減額が決まっている。
組:他の積み残した事項と、労働契約法改正にともなう問題については次回また
団交を申し入れる。


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初版: 2012.12.25 ; 最終更新: 2012.12.25
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