4月8日付の「回答」に対する質問

関連文書:
「誠実交渉義務の確認について(回答)」[PDF] (2005年4月8日,学長の組合執行委員長宛文書)(P)
2005年4月26日
大阪外国語大学長
是 永 駿 殿
教職員組合執行委員長
田 中 仁(印)
4月8日付の「回答」に対する質問

(1)4月4日,本組合執行委員長は,1.この問題については労働委員会への斡旋を選択肢の一つとして検討している;2.とは言え組合が最も希望しているのは良好な労使関係の確立である;3.組合は,現在,本学においてそのような関係は存在していないと認識していると言明して,要求文書「誠実交渉義務の確認について」を学長に手交しました。これに対して,大学側は,8日,「回答」を文書で組合に提示しました。

(2)4日の組合文書は,労使交渉を,「団体交渉」,事前交渉,文書による応答の総体と捉えたうえで,文書による応答における手続き上の問題に限定して「誠実交渉義務」の確認とその履行を求めたものでした。これに対して大学側は,8日の文書において, a.当該の組合文書が掲げた個々の問題に「回答」した上で, b.「貴組合において,回答期限を設定されたとしても,期限内に回答できない場合もあることをご理解願います」とし,さらにc.概括的な「誠実交渉義務」に関する大学側の主張を展開しました。私たちは,このa. b. c.のいずれに対しても到底承服することができません。

(3)以下,7件の文書に対する「回答」について,私たちの所感を提示しておきます。

1) 2月4日,本組合は「理事の就業を定めた規則あるいはそれに関わる文書」の提示を求めました。これに対して大学側は,18日に「現在,検討中」であると回答しました。しかるに今回の「回答」において,「理事の就業に関する規則は,現在,既に本学ホームページに掲載しております」としています。「検討」結果が出次第,大学側は組合にそれを通知しなければなりません。

2) 人件費に関する具体的数値の提出要求について,今回の回答は「平成16年度決算が終了した時点で教授会等を通じて公表の予定です」としています。本組合は,2004年6月10日開催の外国語学部教授会における大学予算の説明に対する質疑応答を踏まえて,10月26日と11月25日に具体的数値の提示要求を行いました。しかし、大学側は,教授会で提示された質問に回答を寄せず,さらに組合からの具体的数値の提示要求を拒否し続けてきました。遺憾ながら,この問題について,大学側は最低限の説明責任すら果たしていないと言わざるを得ません。

3) 3月9日,本組合は「教職員の就業に関わるすべての規則や規定については,それが制定される以前に組合に提示されるべきである」としてこの件に関する大学側の見解を求めましたが,これに対する今回の回答は,「労働者過半数代表者へ提示する方向で検討します」というものでした。この回答は,労働組合との団体交渉義務が過半数代表者への意見聴取義務に優先しなければならないという労働法の原則に悖るものです。私たちは,この問題について労使間の確認が行われるまで,教職員の就業に関する新たな規則等の制定は行いえないと考えます。

4) 3月24日,本組合は組合員の不利益変更の是正について3月30日までの回答を大学側に求めました。この点について,今回,「現在,企画・広報室において検討することになっておりますので,結果が出次第,回答します」と回答しました。私たちが3月30日までの回答を求めたのは新年度に関わる問題であったからであり,少なくとも大学側は,上記の回答を期限内に行うことができたはずであり,また行わなければならなかったと考えます。

5) 「来年度非常勤講師に対する学長名による依頼文書について」(3月28日)はこの文書に書かれた「処理」が具体的にどのようになされうるのかを問うたものであり,また「第4回団体交渉における大島理事の発言について」(1月27日)は当該の発言が大学の正式見解であると受け取ってよいのかを確認しようとしたものです。両問題に対する今回の「回答」は,いずれも求めた質問に対して何の回答も行っていません。

(4)4月4日の組合文書が,労使間の文書の応答における手続き問題に限定して「誠実交渉義務の確認とその履行」を求めたことに対して,大学側は「貴組合において,回答期限を設定されたとしても,期限内に回答できない場合もあることをご理解願います」と回答しました。「誠実交渉義務」については,判例でその定義と基準が確認されています。「使用者は,自己の主張を相手方が理解し,納得することを目指して,誠意をもって団体交渉に当たらなければならず,労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり,必要な資料を提示するなどし,また,結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても,その論拠を示して反論するなどの努力をすべき義務があるのであって,合意を求める組合の努力に対しては,右のような誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務があるものと解すべきである」(カール・ツァイス事件判旨)。上記の判例に照らすならば,これまで大学側が,組合が設定した回答期限に対して何の回答も寄せず,その件に関して何の釈明もなかったことが誠実交渉義務に悖っていることは明白であると考えます。同時に,4月8日の大学側の「回答」文書はこの点に対する認識を欠いている点で極めて遺憾であると言わなければなりません。再度,文書による応答手続きに限定して,誠実交渉義務の確認とその履行を要求します。

(5)さらに,4月8日の「回答」文書は,労使間の「誠実交渉義務」について大学側の主張を展開しています。この点については,前項で述べたように,そもそも「誠実交渉義務」とは使用者に課せられた義務であって双務的性格のものではないことを踏まえておく必要があります。同時に,4月4日,委員長が当該の文書を学長に手渡した際,組合が最も希求していことは本学における良好な労使関係の確立であると表明しています。しかるに,8日の大学側「回答」文書が「仮にも,当事者の一方が自らの要求のみを一方的に要請し,それが実現しないと誠実な交渉ではないとの見方は,一面的であると考えます」として,あたかも本組合が一方的かつ一面的な主張を展開しているかのように述べ,さらに「労使双方が誠実に交渉し,信頼関係を築いていくことが必要である」としてこの点に関する「確認を」組合に「要請」しています。この「仮にも…」に該当する部分に関して,本組合に関わる典型的かつ具体的事例の明示を求めます。

(6)以下の諸事項に関して5月11日までにご回答ください。

以上

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