過半数ニュース2013年12月11日号

大阪大学箕面地区過半数代表者より箕面地区で働く全教職員のみなさまへのお知らせです。

法人化前から雇用されている非常勤職員の雇用期限問題についての声明

2013年11月26日


  大阪大学役員会が、多くの教職員の反対を押し切って、法人化前から雇用さ
れている非常勤職員に、「当分の間」労働契約の更新可能年数に制限を設けない
経過措置を、2015年3月末をもって廃止すると決定通告してから、4年が経過し
た。大阪大学4地区教職員過半数代表は、圧倒的多数の教職員の皆さんと供に、
決定が就業規則の変更ではないとする大阪大学を批判し、この理不尽な決定に一
致して反対し、撤回を求めてきた。
  この間、これらの非常勤職員から、新たに創設された特例職員へ今年4月ま
でに74名が採用された。しかし、来年度の採用予定は僅かに5名とされているこ
とから、2015年3月末に最大160余名が一斉に雇い止めとなる可能性が生まれてい
る。また、法人化前から雇用されている非常勤職員の雇い止めを強行しようとし
ているのは、私たちの知る限り、全国の国立大学法人の中で大阪大学だけである。
  4地区教職員過半数代表は、ここにあらためて、雇い止め強行の不正義と不
合理を指摘し、雇用期限まで1年余に迫った今、平野大阪大学総長に対して、速
やかに決定を撤回することを強く求めるものである。

1. 経緯概要

1)	大阪大学は法人化前、契約更新年限を定めることなく、非常勤職員を同じ職
場で再雇用を繰り返して来た。その際には、多くの職場において、事実上60歳
まで勤める事ができると説明されてきた。非常勤職員はそれを参考に人生設計を
していた。

2)	大阪大学は、2004年の国立大学の法人化にあたり、就業規則案を教職員に提
示するときに、法人化前から雇用されている非常勤職員の労働契約の更新可能年
数の制限を設けないのは、運営経費の多くを国費に依存しなければならないの
で、すなわち財政的理由によって「当分の間」としか約束できないと説明してい
た。財政的理由によって雇い止めになる可能性は無いと考えられたので、多くの
職場においては、法人化時の雇用契約において、実際には60歳定年までの雇用さ
れることになると考えて良く、心配することはないと説明された。

3)	大阪大学は2009年10月、法人化前から雇用されている非常勤職員について、
「当分の間」労働契約の更新可能年数に制限を設けない経過措置を、2015年3月
末をもって廃止すると決定通告した。法人化後に採用された非常勤職員について
は6年を契約更新可能年数としたため、非常勤職員間の異なる取扱いをなくさな
くてはならないためとの理由であった。

2.	法人化前から雇用されている非常勤職員の雇い止めは不正義である。

有期雇用とはいえ、人によっては30年以上に亘って雇用を繰り返し、よほどの
ことがない限り雇止めはないと期待させてきた方の雇止めである。各年度の再契
約の際にも、多くは同じ職場で雇用され、各職場では事実上は雇い続けると言わ
れてきた。このような例について、厚生労働省のホームページ掲載文書「解雇や
雇止めに関するルールについて」(2011年4月)において、雇用継続への合理的
期待が認められる場合には、雇止めするに当たっては、解雇に関する法理が類推
されるとされている(補足1)。
また、過去に事実上定年まで雇われることを期待させていたのは国立大学法人大
阪大学ではなく、別の経営主体である国立大学大阪大学であって、国立大学法人
大阪大学には関係ないとすることは一般常識では納得できない。国立大学法人に
変わって雇用できなくなるような、やむにやまれぬ理由がないからである。その
ため、複数の教授は、法人化時に、法人化前から雇用されている非常勤職員に、
60歳まで雇用されると考えて良いと説明したと述べている。今回の雇止めは法
律的にもグレーゾーンのきわどいものであり、少なくとも厚生労働省の考えに反
したものである。
  そもそも、法人化以前、多くの非常勤職員を事実上最長60歳まで雇用して
いたにも関わらず1年雇用を繰り返していた理由として、大阪大学は国家公務員
定数の枠があるためであると説明していた。法人化で定員の枠が無くなったとき
に、雇用期限が撤廃されることこそが当然であったのである。法人化に当って
は、将来、財政的にやっていけなくなる可能性を排除できないために契約更新期
限を当面の間としか言えないと説明し、財政的な破綻がなければ雇用が続くと期
待させておきながら、財政的には問題ないにも関わらず、法人化後に採用された
非常勤職員に6年の期限を明示したために法人化前採用の非常勤職員にも期限を
付けた。6年期限の非常勤職員を新設する為に起きる非常勤職員間の待遇差に起
因する不満などの問題が起きる可能性を心配した事は理解できるが、その問題解
決のために法人化前から雇用されている非常勤職員に不利益を強いる変更を行な
うことは、以上の経緯を踏まえると間違っている。他の国立大学法人において
は、このような乱暴な論理を振り回すことなく、法人化前に雇用された非常勤職
員については期限を定めていない。さらに、東島理学研究科長(当時)は2009
年、研究科教職員への説明会で、大阪大学は「対象者全員を特例職員にしても、
財政的に十分にやっていける」と説明し、大部分の非常勤職員を特例職員として
雇用する事を期待させた。以上の経緯の中での「当分の間」の経過措置の廃止に
よる雇い止めは、該当者の人生設計を狂わせ、その経緯は該当者を欺くもので
あった。かかる不正義は、社会的に認められるべきものではない。

3.	要求
  法人化前から雇用されている非常勤職員については、他の国立大学法人と同
様に2015年4月以降の雇用を可能とすることを求める。


補足1)厚生労働省「解雇や雇止めに関するルールについて」(2011年4月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014uzs-att/2r9852000001dhat.pdf

裁判例によれば、契約の形式が有期労働契約であっても、期間の定めのない契約
と実質的に異ならない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契
約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、解雇に関す
る法理の類推適用等がされる場合があります。

【裁判例】
期間の定めのない契約と実質的に異ならない関係が生じたということはできない
ものの、季節的労務や臨時的労務のために雇用されたのではなく、その雇用関係
はある程度の継続が期待されていたものであり、5 回にわたり契約が更新されて
いたのであるから、このような労働者を契約期間満了によって雇止めするに当
たっては、解雇に関する法理が類推される。 (最高裁第一小法廷 昭和 61 年
12 月4日判決)

以上

吹田地区過半数代表 勝木保雄
豊中地区過半数代表 柿本辰男
箕面地区過半数代表 今岡良子
病院地区過半数代表 高階雅紀


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初版: 2013.12.11 ; 最終更新: 2013.12.11
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