過半数ニュース2012年12月16日号

大阪大学箕面地区過半数代表者より箕面地区で働く全教職員のみなさまへのお知らせです。

箕面地区過半数ニュース

こんばんは 今岡良子です。

14日金曜日、朝9時30分より、吹田キャンパスコンベンションセンターで
労働契約法改正に伴う有期雇用教職員の契約期間等の制定などに関する説明会が
ありました。
吹田、豊中、箕面地区代表とオブザーバーが出席しました。

すでに改正資料は https://my.osaka-u.ac.jp/admin/jinji/rules/regulations 
をご覧になっていると思います。

(1)労働契約法改正の目的

まず、過半数代表の私とみなさんとの間で共有したいのは、
労働契約法改正の目的です。

厚生労働省のパンフレットにはこう書かれています。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet02.pdf

「有期労働契約で働く人は全国で約1200万人と推計されます。
有期労働契約で働く人の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を繰り返し更
新している実態にあり、
その下で生じる雇い止めの不安の解消が課題となっています。
また、有期労働契約であることを理由として不合理な労働条件が定められること
のないようにしていく必要もあります。

労働契約法の改正は、こうした問題に対処し、
働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものです。」

さて、
大阪大学の使用者の説明はどうだったでしょうか?

尾山理事「労働契約法の改正に伴って規程を改正し、それに伴う紛争を回避する」


(2)厚生労働省はそういう使用者が出てくる事を予測して釘をさしています。

無期労働契約への転換ルールの導入は、
有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合に、
労働者からの申込みによって無機労働契約に転換することができるようにするこ
とにより、
労働者の雇用の安定を図ろうとするものですが、

このルールの導入に伴い、
有期契約労働者が無期労働契約への転換前に雇止めとなる場合が増加するのでは
ないかとの心配があります。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet18.pdf

と書かれています。

(3)この法律によって大阪大学使用者が心配していること

大学から配布された資料の1枚目に3つのことが書かれています。

① 無期労働契約への転換(尾山理事は「リスクを抱える」と言いました。)
  有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みに
より、期間の定めのない労働契約に転換できるルール。

② 「雇止め法理」の法定化
  最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定され、
  一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルール。
(法の目的を恐れています!!)

③ 不合理な労働条件の禁止
  有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不
合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール。(同一労働、同一賃金
は、今やILOの常識。同じ仕事をしている事務補佐員には、交通費を支給しない
というのは、不合理な老有働条件の相違です。これを禁止することを大阪大学使
用者は恐れています!!)


(4)大阪大学使用者が考える「有期雇用ルールをシンプルにする」とは

最長雇用可能年数を原則5年以内にする。

つまり、無期労働契約の申込をする前に解雇すること。
厚生労働省の心配することを全国に先駆けて実施しようとしているのです。

全国の大学に先駆けて
こんなことをするなんて、恥ずかしい、情けない気持ちでいっぱいでした。

(5)対象者は?
①任期法の教員
②特任教員(常勤)
寄付講座等教員
特任事務職員
非常勤職員
医員
任期付嘱託職員
③非常勤講師
④TA・RA
⑤アルバイトなど

①任期法の教員は、更新可能回数の制限が撤廃されます。これはいいことです。
 したがって、2013年4月1日から数えて、5年を超えれば
 無期契約に変える申込み権が生まれます。

②特任教員の場合は、2013年4月1日以降は通算5年以内となります。
 非常勤講師を2年していただいた後、特任教員の期間は3年となります。

 非常勤職員(事務補佐員)の場合も、2013年4月1日以降は通算5年以内とな
ります。
 交通費を支給しないという不合理な労働条件の相違はそのままです。
 遠距離から通勤するため、最低賃金を割っている事務補佐員がいることを指摘
しましたが、
 使用者側は、「その人は、採用前に労働条件を知っていたのか?」と言いました。
 通勤手当を出さないことを知りながら、応募した方が悪いという考え方です。
 大阪大学には最低賃金を割る職員が働いていることをどう思うのでしょうか?
 

③非常勤講師は、就業規則上の労働者ではないのですが、通算5年以内の雇止め
の適用を受けます。また、不合理な労働条件の相違を設けています。

 箕面地区組合、阪大組合は、関西非常勤講師組合とも共闘していますが、
 非常勤講師組合は、常勤になることを要求しているのではないことを
 みなさんとの間で確認しておきたいと思います。

 非常勤講師組合は、現状と同じ、1年ごとの更新で、無期労働契約を求めてい
ます。
 使用者は、過剰防衛をしています。
 むしろ、そのことによって、全国の非常勤講師組合を敵にまわす事態に発展し
ています。

④TA・RA/⑤アルバイトも、阪大では就業規則上の労働者ではないのですが、
 わざわざ適用できるように文書を作っています。
 TAを1年、RAを1年、アルバイトを1年、非常勤講師を1年、特任助教1年で
 通算5年となり、雇止めになります。
 本来、TA・RAのシステムはポスドク問題を緩和するために導入されたものですが、
 TA・RAをしたがために、非常勤や特任の期間を短くしなければならなくなると
いう矛盾が露呈しました。

(6)部局長から申し出があった場合、5年を超えて雇用

 しかし、
 「財政的な問題は部局が責任をもてますか?」
 と確認するそうです。
 一種の脅しですね。 


(7)このような改正労働契約法の主旨に反する法の悪用の結果、外国語学部は?

 ・最長雇用可能年数は、クーリング期間によっても、リセットされません。

 特任教員の場合、「クーリング・オフ」とか言った期間をおいて、新たに雇用
していましたが
 4月1日以降の最長雇用可能年数は5年が最長となりますので、難しくなります。

 非常勤講師の場合、5年で雇止めになりますから、違う人を雇うことになります。
 次から次へと人材豊富な分野ならいいでしょうが、マイナー言語の場合、新し
い人を5年後に探せるでしょうか?

 ・「働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するため」に改正さ
れた労働契約法。
 それを逆手にとり、
 不安な雇用状況を作り出すことで、
 教室の常勤と業務委嘱の非常勤の間の人間関係が難しくなります。
 学問的には日本の外国研究をともに担う者同士が、紛争に巻き込まれます。

(8)すでに非常勤講師削減計画が進む中で

 私の所属する専攻語でも、来年度の削減を言われました。
 持ちコマ数が最も多い方にお願いしたところ、
 「他でも削減され、学会は退会し、一日一食しか食べられないでいる。」と言
われ、眠れなくなりました。
 これは、人道的な問題です。
 3万人以上が、無縁死する今の日本社会では、最悪のことが想定できます。
 それで、通年2セメを担当していただいている唯一本務校のある方に1セメ
分、削減をお願いしました。 

 さらに削減は進み、5年で雇止めとなると、一日一食しか食べられないでいる方は
 どうなっているでしょうか?
 「有期雇用ルールをシンプルに」「シンプルに」と大阪大学使用者は繰り返し
ますが、
 「シンプルに」合理化した結果、大阪大学の非常勤講師に何が起るか?
 「シンプルに」切ると血が流れます。
  大学は、そういう事態になっても対処できる覚悟を決めているのでしょうか?

 使用者側は
 「大阪大学の非常勤講師の単価は、近隣の大学よりも高い6680円です」
 と得意顔で言いました。

 夏休み、冬休み、春休み。その高い単価の賃金は支払われるのですか?
 教室で働く非常勤講師や委嘱する教室の教員の痛みを何も知らない。
 一日一食しか食べられない教員が阪大にいるということをどう考えているので
しょうか?

 そして、非常勤講師の削減は、学生の学習条件を悪化させることに直結します。
 何かといえば、使用者側は「運営費交付金は国民の税金」と言います。
 「学生は授業料を払っている」ということをどう考えているのでしょうか?

***
まとめますと
使用者が言ったことは
 
  トラブルを回避するために、労働契約に関する規程などを変更する
  ということです。 

みなさんからもご意見、ご感想をお寄せください。
このメールの返信でお願いします。

全国の国立大学法人の中で阪大が先駆けてやろうとしていることに対して
厚生労働省は黙っているでしょうか?
国会での質問も用意されています。

今岡良子



→ union-oum@union-oufs.jp

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初版: 2012.12.16 ; 最終更新: 2012.12.16
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