2005年6月10日大阪外国語大学長
是 永 駿 殿教職員組合執行委員長
田 中 仁(印)労働組合との団体交渉応諾義務と
過半数代表者に対する意見聴取義務の関係について5月27日,大学は,4月26日に本組合が行った「質問」に対する回答を寄せました。その内容は,私たちにとっていずれも満足のいくものではありません。とは言え,停滞している団体交渉を進展させる必要があるという判断から,ここで改めて反論することは差し控えたいと考えます。検討中であるとされた諸点については,結論が出次第,可及的速やかにご回答くださることを要望しておきます。
ただし,この回答において看過できない以下の点については,本組合の見解を,再度提示しておく必要があると考えます。すなわち,本組合が4月26日に行った「質問」において,大学側に対して労働組合との団体交渉義務が過半数代表者への意見聴取義務に対して優先されることの確認を求めました。この点に関する5月27日付の回答は,「労働組合との団体交渉は集団的労働関係法である労働組合法の範ちゅうであり,一方,過半数代表者への意見聴取は個別的労働関係法である労働基準法の範ちゅうで,別個のものに優劣の判断を行なうことは困難であります」というものでした。
両義務の関係について,私たちは以下のように考えます。すなわち,(1)大学が教職員の労働条件をつくったり変更しようとする場合,労働組合があれば,まず労働組合に団体交渉を申し入れなければならない(憲法28条の労働基本権保障に由来する団結承認義務);(2)当該の問題に関して,労働組合から団体交渉開催要求が提出されている場合はなおさらである(団体交渉応諾義務);(3)労働組合との団体交渉によって合意が成立しさらにその内容が就業規則等の改訂を要するのであれば,大学は就業規則等の案を作成し過半数代表者への意見聴取手続きを踏んだうえで(労基法90条の意見聴取義務),労基署に届け出ることができる。すなわち,憲法28条を頂点とする現代労働法の団結承認義務に由来する労働組合との団体交渉応諾義務は,労働基準法の就業規則・労使協定作成の過半数代表者への意見聴取義務に優先されなければならないということです。
たとえば,5月2日,本組合は「2005年度の入試業務における勤務条件について」の団体交渉の申し入れを行っています。かりにこの問題についての就業規則の改訂が必要であるとするならば,本組合との団体交渉を行なわずに過半数代表者への意見聴取手続きに入ることは団結否認の不当労働行為にあたると考えます。
以上。