国立大学法人の授業料値上げに反対する声明
昨年12月24日に閣議決定された来年度予算案で、国立大学年間授業料「標準額」が52万800円から53万5800円に増額された。文部科学省は、標準額改定の理由を、「私立大学の授業料等の水準など社会経済情勢等を総合的に勘案」して、と説明している。標準額の値上げ相当分は運営交付金から一律減額されるため、各大学は収入を確保するために授業料の改定を迫られている。1月22日に実施された共同通信社の調査によれば、すでに24校では「標準額通り値上げする」ことが決定され、29校が「標準額通り値上げすることで検討中」と回答している。他方で、佐賀大学は据え置きの方向で検討し、愛媛大学は2年かけて二段階で標準額まで値上げすることを検討している。残りの27校は「方向性も含めて検討中」であり、大阪外国語大学もこのなかに含まれている。
今回の値上げ提案に対して、すでに多くの国立大学で反対の意見が表明されており、さまざまな問題点が指摘されている。まず第1に、すでに文科省は将来にわたる運営交付金の削減を言明しており、その交付金の削減分をカバーするための授業料値上げを認めるならば、国立大学の学費は恒常的に値上げすることになりかねない。それは、「教育の機会均等」の原則を甚だしく形骸化させるものである。
第2に、文科省は値上げの理由に「私立大学との格差是正」を挙げているが、これはいささか唐突な印象を受ける。国立大と私大の授業料の格差は、1970年代後半に急速に縮小したが、この10年間は1.6~1.7倍でほとんど変化していないからである。昨年8月の概算要求の時点で授業料改定を否定していた文科省が、12月になって突然態度を豹変したのは、国立大学予算が政府の歳出削減のターゲットにされたからと考えざるをえない。
第3に、授業料決定のプロセスにも問題がある。前回の授業料値上げの際(2003年度)には、2002年度予算に計上された国立学校特別会計を通じて、受験生は受験の1年前に授業料の金額を知ることができた。しかし、今回の値上げ提案を含む来年度予算案の決定は、新入生の入学手続き以降にずれ込む可能性さえある。
私たち大阪外国語大学教職員組合は、今次の国立大学法人の授業料値上げに断固反対するとともに、国立大学法人大阪外国語大学当局に対して、政府・文科省の「方針」に安易に追随して授業料値上げを行なうことのないよう、強く求めるものである。
2005年2月3日
大阪外国語大学教職員組合