安全衛生委員会問題について

国立大学法人大阪外国語大学長
是永 駿殿
安全衛生委員会問題について

安全衛生委員会とは、労使が協力して職場の安全衛生に関する基本的事項の調査と審議を行なう機関であり、労働安全衛生法は一定の規模以上の事業場にこの機関を設置することを義務付けています。それは、労働災害の発生原因がさまざまであるがゆえに、個々の職場環境や作業様態に効果的に対応して安全管理を進めていくためには、現場を熟知する労働者の意見や情報を十分に把握して、対策に具体的に反映させていく必要があるからです。同法の17条と19条は、委員の選出に際して、「総括安全責任者」を除いた過半数の委員には、過半数組合もしくは過半数代表者の推薦が必要であると規定しています。さらに、多くの民間企業では、安全衛生委員会は労使協議会の下部組織として設置されています。これらの措置は、職場の安全衛生を効果的に管理するためには、使用者と労働組合が双方を対等なパートナーと認めて、良好な協力関係を構築していくことが必要であることを意味します。

法人に移行した大阪外国語大学でも、安全衛生委員会が設置されました。ところが、学長は過半数代表者に何の相談もなく委員を指名しました。本学の安全衛生委員会に関する学内規定によれば、委員会の構成を定めた第3条の(5)は、「法人の常勤の職員で、安全または衛生に関し経験を有する者のうちから、学長が指名する者 5人」となっており、過半数代表者の推薦を必要とするという規定が欠落しています。さらに、過半数代表者の推薦を経ないで行なわれた選出手続きは、上述の安全衛生法第17条、第19条の規定に反しており、したがって4月以降安全衛生委員会は違法のままに存在してきたことになります。10月14日の団体交渉で、組合はこの点を指摘し、大学側は誤った選出手続きであることを認めました。その後、大学側は、11月1日になって、過半数代表者宛の学長の依頼として、11月10日を期限に委員を推薦するよう連絡してきました。そして、既に選出された5人の委員に対して、11月15日付で「辞職願い」を提出させました。組合は、委員の推薦を含めてこの問題の収拾については団体交渉で協議すべきであるとの回答を、過半数代表者名で提出しました。そして、事態の緊急性に鑑みて、団体交渉を早急に開催することを要求しました。しかし、大学側は、交渉担当者の多忙を理由に、今日にいたるまで交渉の開催期日を確定しようとしません。さらに、組合は、旧安全委員の名簿とこれまで開催された委員会の議事録の提出を要求しています。ところが、大学側は「要求された資料は交渉の場で提出し、提出できない資料もある」と回答しています。これらの資料は、大学当局と交渉する上で必要なだけでなく、新たな委員を推薦する際にも必要なので、大学側は早急に提示すべきものです。このように、組合は事態の収拾を早急に図るよう働きかけているのですが、これに応じない大学当局の姿勢は誠実交渉義務にもとると考えざるをえません。

この問題は、安全衛生委員を違法な手続きで選出した学長の責任が問われる重大な問題です。さらに、現在同委員会は活動停止の状態にありますが、労働安全衛生規則第23条によれば同委員会は毎月1回以上開催することが義務づけられており、このままの状態が続けば更に法令違反を重ねることになります。しかし、11月1日付の依頼文書に見るように、こうした事態を引き起こした大学側の責任の自覚は極めて不十分であり、学内規定の改定も含めての問題の収拾については、組合ときちんと協議する必要があります。職場の安全衛生管理を効果的に進めていくためには、労働組合を対等のパートナーとして位置づけて、良好な労使関係を構築することが前提となります。この基本的な認識の欠落が根本的な問題ではないでしょうか。組合は、大学当局が早急に団体交渉に応じて、大学側の責任と良好な労使関係の重要性に対する認識不足を認め、謝罪するよう要求します。

2004年11月18日

国立大学法人大阪外国語大学教職員組合
教職員組合執行委員長
田中仁

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初版: 2004.12.24 ; 最終更新: 2004.12.24
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